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【ニンニクの薬効】

1.疲労回復効果


古代エジプト人は、原産地である中央アジア、現在のイン北部から輸入し、ニンニクを栽培し、毎日のようにこれを食べて疲労を回復し、世界七不思議といわれる巨大な建造物ピラミッドを造りあげたといわれています。そのピラミッドの中から黒化したニンニクが最古の野菜として発見されています。日本でも、江戸時代には、タニシの和え物や鳥獣肉の薬味に用いて、疲れを癒したといわれています。

疲労回復ビタミンといわれるビタミンB1は、糖質を分解してエネルギーにかえるときに必要な栄養素です。これが不足すると糖質の代謝がスムーズに行われないため、疲れやだるさを感じるようになります。ビタミンB1はもともと水溶性ですぐに尿から排泄されてなくなります。ところがニンニクの香りの成分のアリシンが、ビタミンB1t結合すると、活性持続型ビタミンのアリチアミンになります。アリチアミンは体内でアノイリナーゼ菌による破壊を受けないので、ビタミンB1の吸収は格段に高まります。また、脂溶性にかわり、排泄されにくくなり、B1単独の場合に比べて疲労回復に一層の効果を発揮するのです。その他、ニンニクにはアドレナリン分泌を促して交感神経を刺激する作用もあり強壮作用も示します。

2.殺菌作用

ニンニクの香りの成分アリシンそのものはニンニクの中には存在せず、ニンニクを刻んだりすりおろしたりすると生成されます。すなわちニンニク中の香りの前駆物質(含硫アミノ酸)、すなわちアリイン、メチイン、イソアリインは、包丁をいれると香りの成分アリシンに瞬時に変わります。ニンニク細胞が破壊されて、これらの含硫アミノ酸がニンニク中の酵素アリイナーゼと接触して瞬時にアリシンに変化するのです。このアリシンは非常に不安定のもので、時間が経ったり加熱すると安定型である別のイオウ化合物に変化します。ニンニクの薬効はアリシンだけでなく、安
定で揮発性をしめす、これらのイオウ化合物によるものであることが最近判明しています。アリシンやそのイオウ化合物は、糸状菌、大腸菌などの殺菌作用や菌の出す毒素の中和作用を示します。最近では、消化性潰瘍や胃がんの原因菌ともなるヘリコバススター・ピロリを抑制するとも報告されています。

3.血栓予防効果

ニンニクの血栓予防効果は、1970年代に報告され始め、アリシン、アホエン、ジメチルトリスルフィド、ジチインなどのいおう化合物が血栓を予防することが確認されています。動脈血栓を防ぐには、血小板凝集能を抑制し、また静脈血栓を防ぐには、血液凝固能を抑制し、線溶能を亢進させることが必須です。ニンニクのこれらのイオウ化合物は、血小板凝集能抑制効果、血液凝固能抑制効果、線溶能亢進効果のいずれをも発揮すると報告されています。

4.動脈硬化予防

アリシン、アホエンは中性脂肪を低下させたり、血中LDLを低下させると報告されています。また、コレステロールの吸収を抑え、胆汁中への排泄を促進することで、コレステロールを低下させるとも考えられています。高血圧の場合、アリシン、アリルスルフィド、アリインは血管平滑筋を弛緩させ、血管を拡張させて、降圧させることが報告されて
います。また、スコルジニンは毛細血管を拡張し、血行を改善して、高血圧を予防します。このようにニンニクは、動脈硬化を抑えて、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の予防に効果が期待できます。

5.ガン予防

活性酸素を抑制することによって、動脈硬化はもとより、ガンが予防されることは、いまやよく知られることですが、ニンニクの活性酸素抑制能は強力です。ニンニク多く含まれているイオウ化合物、アリキシン、テルペン、セレンなどがガンを予防します。

【効果的な利用法と落とし穴】

10年ほど前にアメリカと中国が共同で行った疫学調査では、ニンニクを年間1.5kg 食べている人は、ほとんど食べない人と比較して、胃がんの発生率が半分も抑えられていました。これらの調査結果を元に、ニンニクの有効量を計算すると、1日約5gになります。これはニンニク1かけに相当します。ニンニクは刺激が強いので、食べすぎは禁物です。特に空腹時に多量に摂取すると胃を痛めるので注意が必要です。生なら1かけ、加熱したものなら2~3かけを目安にとりましょう。子供や高血圧の人は、この半分以下にとどめます。ニンニクの臭いを消すには、一緒にミネラルたっぷりの果物、野菜、牛乳、ヨーグルトをとると良いです。それ以外には卵・チーズなどでも効果があります。基本的に植物性より動物性タンパク質のほうがニンニクの消臭には効力があるといわれています。

たしかにニンニクには生活習慣病の予防やパワーをみなぎらせる作用がある事は確かなのですが、このニンニクを常食とすると危険な落とし穴が待っているのです。精力を付けるどころか、貧血になって体力減退と言う逆作用を
引き起こしてしまうこともあるのです。ニンニクには多量のアリシンが含まれていますが、この成分が赤血球の中からヘモグロビンを追い出してしまう為に貧血をおこさせてしまうのです。
そのため、ニンニクのすりおろしなどの生食の常食には注意が必要です。

   (参考:日本薬剤師会雑誌 第53巻2号)
 

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