市販の解熱鎮痛剤は、痛みの原因を治すのではなくて、痛みを感じにくくする薬です。脳に働きかけて痛みに対する感受性をにぶくしてしまうのです。歯が痛いときも頭が痛いときも、原因がなんであれ、その痛みを感じているのは脳なので、薬が効いている間は痛くないのです。また、これらの薬は脳の体温調節中枢にも同時に働きかけるので、熱を下げることができるのです。
それから、アスピリン、イブプロフェンなどの薬は、炎症を起こしている部位で作られるプロスタグランジン(痛みを起こさせる物質)を作りにくくさせるといわれています。そこで、このグループは非ステロイド系抗炎症剤と呼ばれています。プロスタグランジンは発熱物質でもあるので、同時に熱を下げることもできます。
痛みが起きる場合は、身体に何か不調や異常が起きているこの警告信号です。従って、解熱鎮痛剤を使う場合には、つらくて我慢できないときに1~2回服用し、決して続けて服用しないことが大切です。
注意事項をあげてみましょう。
1.連用しない
脳に入るだけではなく、全身的に作用を及ぼす薬なので、使用はせいぜい2~3回にとどめる。原因がはっきりしないのに長く使い続けてはいけない。
2.病気のある人は使わない
慢性病などで医者にかかっている人は相談なしに使わないこと。たとえば、胃、十二指腸潰瘍の人はアスピリンの入った薬は使えない。ワーファリンなど血栓を作るのを防ぐ薬を飲んでいる人が解熱鎮痛剤を飲むと出血傾向が強まる。胃潰瘍でH2ブロッカーを飲んでいる人は解熱鎮痛剤は使えない。
3.まれだが重大な副作用
非常にまれな例ではあるが、スティーブンスジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)やサリチル酸系解熱鎮痛剤によるといわれるライ症候群といった重大な副作用事故も起きている。アスピリンやアスピリンアルミニウム、サザピリン、サリチル酸ナトリウムを含有する薬は15歳以下の小児は使えない。さらに水痘(水ぼうそう)もしくはインフルエンザにかかっている、またはその疑いがある15歳未満の小児には、サリチルアミドやエテンザミドも使用しないほうが良いとされている。
4.関節や筋肉の痛みに使う湿布剤やスプレーなどにも、インド
メタシンなどの消炎鎮痛剤配合のものがあり、過剰使用になるので、併用しないほうがよい。
5.解熱鎮痛剤の多くは、胃腸障害の副作用がある。
その原因の一つは、プロスタグランジンという物質の働きが抑えられると、胃粘膜の防御機能が低下して、胃粘膜が胃酸で溶けて、ひどい場合は胃潰瘍になる。胃を守るためには、食後すぐに薬を飲むこと。空腹時に飲まなくてはならないときは、牛乳で飲むのもよい。牛乳の脂質やタンパク質が胃粘膜に付着し、保護膜になる。コップ一杯の水で薬を飲むということは、薬を溶かすためであり、ほんの一口の水では足りない。水が少ないと薬が溶けきれず食道に貼り付いてしまい、食道がただれることがある。
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