不眠にもタイプがあり、ストレスや悩みごとなどがあって実際に睡眠がとれていない場合もあれば、睡眠中の脳波を調べると眠っているのに、本人は寝た気がせず、眠れないと訴える場合もあります。
最近の睡眠薬は依存性も少なく、毒性も弱くなり、昔のように怖い薬ではなくなっていますが、それでも、睡眠薬に不安
を感じる人は少なくありません。新たな不安を抱え込むことは良いことではありませんし、睡眠薬を飲むと、翌朝ボーッ
として具合が悪いという人もいます。こうした人には漢方薬が向くといえるでしょう。
ただし、重症の不眠症で、眠れないために衰弱しているような場合には、一時期睡眠薬を使って治療したほうが良い
でしょう。夜は眠り、朝は目覚めるというリズムができれば、睡眠薬を減らしても、漢方薬の効果だけで眠れるようにな
ります。
不眠に用いる漢方薬には、睡眠薬のように飲んだらすぐに眠くなる成分が入っているわけではありません。抗不安薬
のような精神を安定させる効果と、安眠できない原因を全身的に解消し、体調を整えることによって、自然に眠れるよ
うにしていくものです。そのため、薬の処方も、不眠の程度よりも心身の全体的な問題をみて、考えていくことになりま
す。
不眠の治療で最もよく使われるのが、酸棗仁湯(サンソウニントウ)です。他に目立つ症状がなければ、虚、実の証
にあまりこだわらずに使える薬です。精神安定の効果がある柴胡剤(サイコザイ)も不眠の解消に使われます。柴胡加竜骨牡蠣湯、、柴胡桂枝乾姜湯などを証に応じて使い分けます。
女性の更年期障害など、不定愁訴を伴うような不眠には、加味逍遙散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸などもよく用いられ
ます。不定愁訴が改善されていくと共に、不眠も改善されることが多いです。
この他、不眠に伴う他の症状も考慮しながら薬を選んでいきます。一般に、病気は慢性になるほど治りにくいので、不
眠症が長く続いていた人ほど、治療に要する期間も長くなりがちです。
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