漢方の考え方

漢方の病気に対する考え方は現代医学の考え方とはずいぶん異なって います。

漢方では現代医学のように病名に対して一定の薬を処方せず、その人の自覚的、他覚的症状に対して証というものをたて薬方を決めるのです。

ですから同じ病気でも症状が変化していけば、同じ薬は使用できないのです。

漢方では、病気は内的な邪と外的な邪が体質的なものに働いて表れると考えます。

内的な邪とは、気、血、水の三毒を、外的な邪とは風、寒、暑、湿、飲食労倦の五邪を言います。

そして、この内外二因が体質的なものに働いて表れる万病の姿を陰陽虚実に分けて証をたて、治療するのが漢方の治療法なのです。

「病は気から」と言われますが、全身を気が巡っていれば、血も水も順調に流れ、外界から邪が入ってくることが困難ですが、気がスムースに全身を巡らなくなると気滞が生じ、水毒も血毒も生じやすくなり、外邪に犯されやすくなります。

証をたてるためには、患者さんの訴えをよく聞き陰陽虚実に分けていきます。

陰とは消極的であり、生理作用が一般に沈滞的で、生活機能や病的反応が弱った状態を言います。つまり、病邪が体力に勝っている状態を指します。

陽とは陰の反対で、まだ体力があり、積極的、能動的で熱性、炎症性であり、発熱、充血などの症状があります。

虚とは精気が虚脱し、脈にも腹にも力がなく、顔色も皮膚のつやも悪く、声も小さい状態で、実とは病邪が充実した状態で、精気、体力もまだこれに対抗しうる状態にあり、脈にも腹にもゴムまりのようなはりがあり、皮膚のつやも良く、声も大きい人が多いようです。

そこで同じ病気にかかっても、陰であるか、陽であるか、虚であるか、実であるかによって治療法が違ってきます。

よく漢方薬は副作用がないが、合成薬は副作用が恐ろしいというかたがいます。

確かに合成薬には副作用を伴うものが多いようです。

漢方薬でも証に従って服用しないと、時には思いがけないような症状が出ることがあります。

ただ、漢方薬には、瞑眩(メンゲン)といってその思いがけないような症状が治癒への一過程として起こることがあります。

傷寒論にも瞑眩に関することが書かれていますし、漢方の経験を積んだ人なら、それが瞑眩か副作用によるものかは見当がつくと思います。

瞑眩の場合は同じ薬の続服で好転しますが、副作用の場合は悪化し続けるものです。

いずれにしろ、このような症状が起きたときは、専門家に相談することです。

漢方に対する考え方を簡単にまとめてみましたが、効くとが効かないと言う概念ではなく、証に合うか合わないかによって薬方が決められ、証に合いさえすれば、必ずや効果の現れるものであるということを皆さんに理解していただきたいと願っております。

タイトルとURLをコピーしました