自律神経失調症

自律神経失調症は、過剰なストレスが主な原因となって自律神経のバランスが崩れて起こるといわれています。実に多彩な症状で、全身に出たり、重複したり、あるいは移り変わっていったり、出かたは人によって違います。なぜ、そうなのか、どうも弱いところに出るらしいのですが、詳しいメカニズムはわかっていません。検査で異常なしとなるのは、自律神経のバランスの崩れを客観的に測定する方法が未だに確立されていないからです。

不定愁訴があり、検査では異常なしで、内科で治療しているにもかかわらずなかなか症状が取れない場合には、自律神経失調症を疑って、身体と心の両面から総合的に診る心療内科を受診することをおすすめします。このとき、医師に伝えるポイントは、どんな症状か、それはいつからどんなきっかけで出たのか、今はどんなとき、どんな状況で出やすいのか、そのときの気分はどうか、自分の性格をどう思うか、どういう仕事の内容で、家族背景がどのようで、どう生活しているかなどです。

できるだけ正確に、詳しく、症状の出る原因がどこにあるのかを患者さんと医師とが一緒に考えることが大事です。一緒に、というのは、患者さん自身も原因に気づくことがとても大切だからです。それによって治療効果も違ってきます。

診断もそうですが、治療も身体と心の両面から進められます。身体の面には薬物療法(例えば、不安には抗不安剤、不眠には睡眠導入剤、あるいは適切な漢方薬など)、心の面には心理療法(ストレスへの耐性を高めたり、ストレスをコントロールする方法を身につけたりする)をというようにします。実際にはいくつかの治療法を組み合わせる場合が多いようですが、最も大切なのは、患者さん自身の治そうという気持ちです。

自律神経

交感神経と副交感神経の2種類あって、それぞれ主に相反する働きをします。自分の意志とは無関係に働いて、生体機能を維持しています。

交感神経

昼間の活動的な時間帯に優位に働きます。心理的・精神的なストレス、緊張、驚き、恐怖、激怒などでは極度に興奮します。興奮すると、血圧を上げ、心拍数を増やします。反対に胃腸の働きを抑えます。心配のあまり食欲がなくなるのは、交感神経の興奮のためです。

副交感神経

夜間の休息時間帯は副交感神経が優位になります。交感神経の働きとは反対で、血圧を下げ、心拍数を減らします。反対に胃腸の働きを活動的にします。

この二つの神経のバランスが崩れたときに、さまざまな症状が出てきやすくなります。それが自律神経失調症です。

自律神経失調症の発症には、過剰なストレス、仕事や対人関係など社会的なものが深くかかわっています。ストレスを上手に処理することができれば、それが自律神経失調症の予防にもなります。

自律神経失調症予防のポイント

1.物事を肯定的に、良いほうに考える
2.一人で悩みを抱え込まず、相談する人を見つけて相談する
3.必要以上に感情を抑え込まないで、言いたいことは言う
4.心身が疲れたときはスポーツや趣味で気分転換する
5.あれこれと悩まず、当面する問題を一つずつ解決する。解決法を見つけたら、すぐに実行するようにする
6.日常のリズムを崩さない。そうすれば心身のバランスを崩すことが少ない。
7.すべてのことを完全にやろうとは思わない。適切に、いいかげんというような具合に

当たり前のことですが、十分な睡眠、1日3回の食事、適度な運動と休養が必要です。症状に集中しているとますますとらわれてしまいますから、生活習慣の乱れを改めて、症状とうまくつきあきあっていこう、と考えることが大事なのです。

タイトルとURLをコピーしました