高血圧

高血圧症を漢方の立場で考えた場合、体質的には「気、血、水」の3タイプに分けて考えることができます。

気のタイプ

ストレスによる高血圧症がこれに当たりますが、さらに二つのタイプに分けられます。
一つは、ちょっとしたショックですぐ血圧が変動するタイプと、ずっとストレスをため込み、なかなか血圧の下がらないタイプがあります。どちらも不眠、動悸、イライラ、不安感などの精神的症状を伴います。

治療法としては、どちらも竜骨・牡蠣を主薬とした
桂枝加竜骨牡蠣湯ケイシカリュウコツボレイトウ)…虚証
柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)…実証
などを主に用います。

血のタイプ

通常、本態性高血圧症と呼ばれるものは、大半がこのタイプに属します。このタイプで重要なことは後頸部のうっ血と便秘です。このタイプは血毒があり、血毒が後頭部から後頸部にかけて溜まると脳内の血管が圧迫され、頭痛、肩こり、目の充血、めまいのぼせなどの症状を呈することになります。これに便秘が加わりますと、一層症状を悪化させます。このタイプで後頸部の血毒がひどくなると、首に横スジが入ったり、フキデモノができたりするようになります。ここまで進むと、脳卒中のの心配も出てきます。

治療法は
三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)…実証、便秘
大柴胡湯  (ダイサイコトウ)    …実証、便秘
桃核承気湯(トウガクジョウキトウ) …実証、便秘
黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)  …実証、便秘
などが主に用いられます。
また、気と血の両方が合わさったタイプには
加味逍遙散(カミショウヨウサン)…中間証及び虚証
などが用いられます。

水のタイプ

このタイプに属すのは、腎性高血圧と呼ばれるもので、腎機能の異常によって起こるものです。この場合は本態性高血圧症に比べて、脳卒中を起こすことは少ないようです。

治療法は
五苓散(ゴレイサン)  …中間証
八味丸(ハチミガン)  …中間証
七物降下湯(シチモツコウカトウ)…中間証及び虚証
などで、血圧の高さよりも腎機能に重点をおいて処方されます。

高血圧症の予防策

1.塩分の多い食事は控える

2.肉類など動物性脂肪を摂りすぎず、青魚を食べる

3.暴飲暴食を避ける

4.適度な運動を心がける

5.禁煙する

以上のように常識的なことですが、平素の積み重ねが予防となることを忘れないでいただきたいと思います。

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