自律神経失調症としての症状は、めまい、頭痛頭重、全身倦怠、動悸、のぼせ、ほてり、手足の冷え、発汗異常のようなものがありますが、症状は単一ではなく、多愁訴を示す場合が多いようです。
漢方医学的な診断では、虚証を示す場合が多く、精神症状として不眠、不安、イライラ、神経過敏なども認められます。
そのため、西洋医学領域では治療薬として、抗不安薬がよく用いられますが、その副作用として眠気や脱力が発現し、問題となることが少なくありません。
その点、漢方薬においては、その心配がほとんどなく、安心して使えるという特徴があります。
主な薬方を挙げてみましょう。
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1.柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
中等度以上の体力があり、胸苦しさ、動悸、イライラ、不眠などの神経症状の強い場合。
2.桂枝加竜骨牡蠣湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)
体力が虚弱で、疲れやすく、興奮しやすい人で、動悸、イララなどの神経症状がある場合。
3.加味逍遙散(カミショウヨウサン)
体力が中等度ないし虚証で、頭痛、めまい、のぼせ、肩こり足冷え、不安、不眠、発汗異常、耳鳴りなどの不定愁訴のある場合。
4.当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
虚証で、冷え性で貧血の傾向があり、色白で筋肉が軟弱な
場合。
5.半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
のどになにかひっかかったような異物感がある場合。
6.苓桂朮甘湯(レイケイジュツカントウ)
めまいを主訴とする症状
7.柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)
虚弱で、口渇、寝汗、首から上の汗をかきやすいといった神経質の人
8.釣藤散(チョウトウサン)
動脈硬化症があり、頭痛、めまい、肩こりなどを訴える場合
9.香蘇散(コウソサン)
胃腸が弱く、気分が憂鬱で神経質な人によい。
10.黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)
体力があり、のぼせ気味で顔面紅潮し、気分がイライラして落ち着かず、精神不安のある場合。