頭が痛い、頭が重いという症状があれば、まずその原因になっている病気を治すことが先決です。しかし、一般に慢性に経過する頭痛や片頭痛といわれているものは、現代医学的にも、まだ真の原因はわかっていないのです。対症療法として、症状の解消、軽快に役立つ薬物療法を行うだけであって、根治させる治療法は確立されていません。
このような現代医学では根治が難しい慢性頭痛や片頭痛に対して、漢方薬はかなりの効果をあげています。何十年も続いていた頭痛が、漢方薬を服用し始めてから、早ければ2~4週間、おそい場合でも半年ぐらいのうちに、症状が消え去り、治ってしまった例も多いのです。
次に慢性頭痛や片頭痛に使われる主な漢方処方をあげてみます。
1.葛根湯…実証タイプ
体力があり、汗は出ず、首の後ろや背中にかけてこりやすく、頭重や身体のだるさ、肩こりなどの症状がある。風邪に伴う頭痛にもよい。
2.桃核承気湯…実証タイプ
体力があり、便秘や生理不順、のぼせ、肩こりなどを伴う頭痛
3.桂枝茯苓丸…実証タイプ
生理不順、のぼせ、肩こりなどを伴うが、便秘はない場合。
4.柴胡加竜骨牡蠣湯…実証タイプ
動悸、不安、便秘などがある場合
5.加味逍遙散…中間証および虚証タイプ
不定愁訴(頭痛、肩こり、めまい、のぼせ、足冷え、不安)の多い場合。
6.五苓散…中間証タイプ
のどが渇いて水をよく飲むわりには、尿の出が少なく、汗をかきやすい場合。
7.釣藤散…中間証タイプ
高血圧、動脈硬化の傾向があり、朝起床時の頭痛に効果がある。
8.呉茱萸湯…中間証および虚証
冷え証で、胃腸が弱く、発作時に吐いてしまう場合。
9.桂枝人参湯…虚証タイプ
胃腸が弱く、手足は冷えやすいが、多少のぼせる傾向があり、ときに頭痛がし、吐いたり下痢したりする場合。
10.半夏白朮天麻湯…虚証タイプ
胃腸が弱く、めまいや動悸があり、食後に眠くなりやすい場合
11.麻黄附子細辛湯…虚証タイプ
悪寒、手足の冷え、倦怠感などのある場合。