妄想性多汗症

次の記事を読みました。

時事メディカル|時事通信の医療ニュースサイト

記事には、次の症例が紹介されていました。

症例は過度の発汗を訴える75歳女性。紹介受診した来院時までの数カ月間、先述した多汗症の全ての治療薬を中止していた。発汗を自覚しているにもかかわらず乾燥肌を呈しており、Minor法(ヨウ素デンプン反応関連法)による発汗検査を後背部や足甲部に実施したが0点(発汗なし)であった。

そして、研究者らの考察として次が書かれていました。

多汗症はQOLに重大な影響を及ぼす可能性があり、医療者は患者の経験を認めなければならない。医師は問診時に通常聴取する情報以外に、患者の背景となる「物語(narrative)」を引き出すことで、身体的多汗症と妄想的多汗症の区別が付くだけでなく、疾患の感情的影響、患者の社会的支援構造、治療の有用性を探索できる。そして「患者の訴えに耳を傾けない医師に対し、患者が不信感を抱くと、コンプライアンスを損ねてセカンドオピニオンを求め、さらには医療資源の浪費を助長することになる」と注意を喚起し、患者に対し、現時点では多汗症の症状は認められないが、症状を否定しているわけではないと説明することを勧めた。

記事の終わりに研究者の言葉として次がありましたが、記事にもありますように多汗症はQOLに重大な影響を及ぼす可能性があり、量的にはゼロであっても感覚的に多汗を感じる患者さんは苦痛を強いられているのを思うと、更なる研究と検証が進むことを願うばかりです。

妄想性多汗症のような特殊な疾患の精神薬理学的管理については、いまだほとんど知られていない。抗精神病薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬は、寄生虫妄想、身体的醜形障害、嗅覚関連付け症候群(自己臭恐怖症)と同様に、妄想性多汗症の治療に用いることができる可能性がある。しかしこれらの治療法の有効性を判断するには、より多くの研究での検証が必要である

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