自律神経の日内変化

自律神経の働きはは、1日のうちでも変化します。仕事や運動などで活動している日中は交感神経が活発になり、顆粒球が増えます。また、交感神経は、悩んだり気持ちが高ぶるなど、精神的に興奮しても活発に働きます。一方、食事中や休息状態の夜は副交感神経が優位になり、リンパ球が増えます。1日の中でも免疫のバランスはこのように保たれているのです。しかし仕事でミスをしたり、トラブルを抱えるなどの強いストレスが続いたときには、ストレスが交感神経を優位にすることで顆粒球が過剰になり、それが継続すると粘膜の破壊につながります。

交感神経が緊張すると、骨髄でたくさんの顆粒球が作られ、血管を通って粘膜に集まります。顆粒球はとくに新陳代謝が激しい場所に集中します。皮膚や消化管などは新陳代謝が盛んな場所で、そのような部位では増殖の失敗が起こったり老廃物が出るため、顆粒球が集まりやすくなっています。顆粒球には細菌を食べて自己防衛する働きがあります。しかし、増えすぎた顆粒球、本来必要な常在菌まで攻撃してしまい、細菌のいないところへ押しかけた場合は、細菌退治用の武器である活性酸素で大事な粘膜を破壊してしまうのです。これが胃粘膜で起これば胃潰瘍、皮膚で起これば吹き出物、口の中なら口内炎となって発症します。

私たちの体は血管、脳、胃腸など、重要な器官はすべて粘膜でできています。また、粘膜はいろいろな免疫細胞や免疫機構と密接に関係している場所でもあります。ストレス過剰が続くと、それらの破壊につながってしまうのです。

顆粒球とリンパ球の働き

顆粒球もリンパ球もマクロファージから進化して生まれました。健康な状態では、白血球はマクロファージ5%、顆粒球60%、リンパ球35%で構成されています。顆粒球は細菌などの比較的大きな外敵をまるごと飲み込んで、消化酵素と活性酸素を使って分解して処理します。外敵を処理するときに、化膿性の炎症を起こします。リンパ球はマクロファージからの指令を受けて、顆粒球が処理できない、ウィルスなどの小さな外敵を接着分子で捉えて処理します。そのときさらさらした漿液が出る炎症を起こします。また外敵が侵入すると抗体を作り、再度同じ外敵が侵入しても抗体がそれを排除します。これら顆粒球とリンパ球の割合をコントロールしているのが自律神経システムです。つまり交感神経と副交感神経のバランスが崩れると顆粒球とリンパ球の割合が変動し、それによって体に異常が発生します。たとえば交感神経が優位になりすぎると顆粒球が増えます。顆粒球は骨髄で生まれ、血液の中に出て粘膜で死にます。死ぬときには活性酸素を撒き散らして、そこにいる細菌を殺します。そして、増えすぎると粘膜や組織を破壊し、最悪の場合はガンが発生します。それと対照的に副交感神経が優位になりすぎると、リンパ球が過剰になります。リンパ球が増えすぎると外敵(抗原)に過敏に反応するようになり、アレルギー疾患が起こりやすくなります。    (参考:KIRARA Vol.36)

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