次の記事を読み、日本一自殺が少ない町である理由に納得させられました。
記事には次が書かれていました。
岡檀・一橋大学経済研究所客員教授が書いた『生き心地の良い町』では、全国でも極めて自殺率の低い「自殺“最”希少地域」である、徳島県南部の太平洋沿いにある小さな町、海部町(現海陽町)を徹底的にフィールド調査し、5つの自殺予防因子をまとめている。
その五つの予防因子は
自殺予防因子その1──いろんな人がいてもよい、いろんな人がいた方がよい(多様性を尊重する)
上記の例として、特別支援学級の設置について近隣地域の中で海部町のみが異を唱えていることが書かれ、町会議員が次のように説明したことが書かれていました。
他の生徒たちとの間に多少の違いがあるからといって、その子を押し出して別枠の中に囲いこむ行為に賛成できないだけだ。世の中は多様な個性を持つ人たちでできている。一つのクラスの中に、いろんな個性があった方がよいではないか
自殺予防因子その2──人物本位主義をつらぬく(地位や学歴、家柄を重視しない)
こうした地方の小さい町であれば、年功序列などの文化がより根強く残っていそうであるが、海部町では地位や学歴・家柄に囚われず、能力があると見れば新しく町に引っ越してきた新参者をリーダーに抜擢するなど大胆な人事がよく行われるという。
自殺予防因子その3──どうせ自分なんて、と考えない(自己効力感が強く、主体的に社会活動に関わる)
海部町では主体的に政治に参画する人が多いという。自分たちが暮らす世界を自分たちの手によって良くしようという基本姿勢があり、行政に対する注文も多い。ただし、「お上頼み」とは一線を画しており、畏れの対象とは見ていない。首長選挙も盛んで、地方の小規模な町には珍しく、海部町には長期政権の歴史がない。
自殺予防因子その4──「病」は市に出せ(すぐに助けを求める)
この言葉には、やせ我慢すること、虚勢を張ることへの戒めがこめられている。悩みやトラブルを隠して耐えるよりも、思いきってさらけ出せば、妙案を授けてくれる人がいるかもしれないし、援助の手が差し伸べられるかもしれない。だから、取り返しのつかない事態に至る前に周囲に相談せよ、という教えなのである。
自殺予防因子その5──ゆるやかにつながる
海部町は物理的密集度が極めて高く、住民同士の接触頻度は高い。一方、隣人間の付き合いは、基本放任主義で、必要があれば過不足なく援助するというような、どちらかといえば淡白なコミュニケーションが多いという。
五つの自殺予防因子を知り、海部町の自殺が少ないことに納得でした。
記事は次の文面で終わっていましたが、海部町が多くの地域の現状とは異なることを重く受け止め、近づくにはどのようにすべきかを早急に考えるべきだと痛感させられました。
これらの特徴と今の日本の学校を照らすと、明らかに真逆であることがよくわかる。コミュニティは画一的で、硬直的。互いに競争しているために、すぐに助けを求める雰囲気はなく、自己肯定感は低い。頭の良さや外見、運動能力、年齢、性別など、「記号」でラベリングされ、序列化される。海部町の事例を踏まえると、いかに自殺予防因子が足りないかがよくわかる。