次の記事を読みました。

記事には、75歳の男性が73歳の弟の介護をしている事例が書かれていました。
ある時、弟が転倒により腰椎骨折で入院、やがて回復して退院の日が来たのですが兄は迎えに現れませんでした。
兄はカッターナイフで自分の首と手首を何度も刺し、路上で倒れているところを通行人に発見されて救急搬送されていたのです。
タイトルに「命をかけたSOS」とありますが、私はこのSOSに胸が苦しくなる思いを感じました。
私も姑の介護経験があるので、介護者の思いが少しは理解できたためです。
私の場合、日中の介護者は私一人でしたが、夜には仕事を終えた主人と娘が帰宅していましたから、記事の男性よりずっと恵まれていたと言えるのですが、それでも24時間気が休まる時がなく、いつ倒れても不思議はないような状況にまで追い込まれた時期がありました。
そのころ、主人の職場の同僚の奥さんがお姑さんの介護で体調を崩して亡くなりました。
それが大きなきっかけとなり、主人はケアマネージャーと相談して姑を施設に入れる決心をしたのです。
私は50代で介護を経験しましたが、高齢化社会ですから、記事の男性のように高齢者が高齢者を介護することはますます増えるのではないかと察しています。

精神科医である記事の筆者は、記事の最後に次の文面を載せていました。
介護者の疲労は、知らず知らずのうちに蓄積していき、誰もが対応に苦慮する問題です。家庭内のことだから、家族だからといって、一人で多くを抱え込みすぎることは禁物です。精神科を受診したり、行政や福祉サービスに頼ったりしながら、無理をしないようにしていくことが大切です。
親御さんが高齢の方々にはもちろんですが、若い方々も介護を他人事と思わずに、介護が必要になった場合のことをお考えいただければと思います。