血毒と病態

血毒とは、漢方の定義で血液の停滞を表します。

西洋医学の立場では 血毒という定義はありませんが、最近急増している病態に、血毒が原因なっているものが多いように感じます。

血毒が原因になっている病態には、

1,肝障害、糖尿病などの代謝疾患
2.皮膚疾患(アトピー、蕁麻疹、しもやけなど)
3.冷え性
4.精神神経疾患(頭痛、うつ病、脳血管障害など)
5.月経異常、不妊症、排卵異常
6.その他(膠原病、悪性腫瘍など)

などがあり、次のような徴候があるときに血毒があると判断されます。

・口が乾いて、水で口をすすぐが飲みたくない。
・腹部が膨満していないのに、自覚的に腹満を訴える。
・全身的または局所的に煩熱感がある。
・皮膚や粘膜に紫斑点がある。
・皮膚に青筋が現れ、あるいは鮫肌が見られる。
・舌の辺縁に暗紫色が現れ、唇が蒼くなる。
・出血しやすい。

血毒が現れる原因としては、内因性、外因性に分けられ、内因性としては、遺伝体質、自律神経の失調が考えられ、外因性としては、打撲、輸血、冷えなどが考えられます。

血毒の発症背景としては、遺伝的に形成しやすいタイプがあり、体質や加齢が重要な因子となっています。また、ストレスや薬剤(ステロイド、利尿剤、向神経剤、ピル)が起因となって発症する場合もあります。

血毒により起こりやすい現代医学の疾患名は、婦人病をはじめ、循環器疾患、皮膚疾患、精神神経疾患、膠原病、消化器疾患など広範囲に渡っています。

原因や発症背景を考えると、増加をたどることが理由付けられますが、漢方には、血毒に対する処方があり、これによる治療は、総合的に血液の凝集を防止し、改善する効果を発揮するものと思われます。

これらの処方は、微少循環改善作用があることが、全血粘度、血小板凝集能などの変化により報告されていることから、血毒の治療は、未病の治療(病気として発症する前に未然に治してしまう)に結びつくことが期待されます。

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