次の記事を読み、中国と日本の漢方医療の違いを改めて考えさせられました。
漢方医である記事の筆者は、次のように述べています。
すべての科学は進歩します。漢方医療も前進していきますし、そうあるべきです。数千年前、あるいは数百年前のやり方で止まってしまってはいけません。中国では、古典的な漢方薬の使い方に満足せず、新たな漢方薬を創出したり、その価値を吟味する臨床試験が盛んに行われたりしているのです。
上記の一つとして、筆者はタイトルにもなっている心臓の漢方薬「通心絡」について書いています。
中国には通心絡(Tongxinluo)という名前の漢方薬があります。僕の拙い中国語の知識を総動員すると、「トンシンルオ」みたいに読むのでしょうか。その名が示唆するように心臓の薬でして、狭心症や動脈硬化の患者さんなどに用いられてきました。中国では、1996年に医薬品として承認されています。
通心絡は12の生薬からなっています。特に注目すべきは動物由来の生薬が多いことです。例えば、ヒル、サソリ、ムカデ、土鳖虫―これはゴミムシの一種だそうです!
そして、次が続いていました。
さて、ここで注目したいのが、この通心絡の臨床効果の検証です。中国の偉いところは、この薬を正真正銘の西洋医学の方法論、すなわち臨床試験で効果を検証してきたことです。通心絡については、これまでもたくさんの臨床研究が行われてきました。そして、最近も米国の医師会雑誌(JAMA)に新たな研究論文が発表されました。なんと、通心絡を急性心筋 梗塞 の治療に使うというのです!
私は上記を読んだ際、使われている生薬から考えても日本では医薬品としての認可はかなり難しいだろうと思いました。
「通心絡」に関しては臨床試験も行われ、通常の西洋医学的な治療に「通心絡」を加えることで、その後の心臓の病気の発生や、心臓が原因の死亡が減ったことも記事に書かれていました。
記事の筆者は、日本の漢方医療の現状への懸念を次のように述べていました。
日本ではこのようなランダム化比較試験で漢方薬の効果を検証しようという試みがほとんど行われていません。それどころか「漢方薬は個別化した医療だからエビデンス(科学的根拠)なんて必要ない」「何千年もの経験が蓄積されているから、効果はあるに決まっている」という意見もあり、臨床研究による検証自体に消極的な傾向すら感じられます。
記事に書かれていますが、確かに漢方医療の起源は中国にあります。
そして、中国では漢方薬の臨床試験が進み、西洋医学の治療に漢方薬を加えることで、患者さんの病気の治療はより良くなるという研究成果が出ているそうです。
日本の場合はどうでしょうか。漢方薬の臨床試験は進んでいないように私は感じています。
記事の筆者は次のように書いていますが、果たして日本の漢方医療はどこまで中国に追い付けるでしょうか
漢方薬の知見はたくさんありますが、臨床医学的な検証はまだまだ不十分だと僕は思います。漢方の価値をもっともっと科学的に吟味しないと、中国との差は離される一方です